IT書面一括法
IT書面一括法(アイ・ティー・しょめんいっかつほう)とは、「電子帳簿保存法」や「e-文書法」、「電子署名法」と並び、電子書面に関わる法律のひとつです。これにより書面での交付や提出が必要だった各種手続きに対し、電子メールやFAXなどの電子的手段が認められるようになりました。
ここでは、IT書面一括法について、概要や条文、注意すべき点を紹介します。
IT書面一括法とは?
IT書面一括法とは2001年4月に施行された法律で、正式名称を「書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律」といいます。従来、法律によって書面での交付や提出が義務付けられていた各種手続きに対し、一定の条件を満たした場合に、電子的な手法で代替可能と認めるものです。電子メールや電子ファイル、FAXなどの利用が可能となり、対象となる手続きの数は年々増加しています。もちろん、IT書面一括法の対象であっても書面での交付や提出は現在でも可能です。
IT書面一括法の条文
条文は「○○法の一部を次のように改正する。」と規定し、「電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって△△令で定めるものにより提供することができる。」という条項を加えます。
既存の法律を改正する場合、ひとつひとつ審議する必要があるため時間がかかってしまいます。IT書面一括法は上記のように条項を加えることで、金融庁・総務省・財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省の定めるおよそ50の法令を一括で改正しているのです。
IT書面一括法の注意点
IT書面一括法はIT化を推し進める便利な法律ですが、次のような注意点もあります。
電子的な手続きが認められていない書類もある
依然として電子的な手続きが認められていない書類もあります。具体的には以下のような契約書の電子化は認められていません。
- 任意後見契約書
- 事業用定期借地契約
- 企業担保権の設定又は変更を目的とする契約
合意が必要
電子的手段を利用するには、相手方の承諾も必要です。合意のないまま電子化を行うのは違法となるため注意しましょう。
電子契約に関するその他の法律
電子契約に関する法律はIT書面一括法以外に、次のようなものがあります。
電子帳簿保存法
電子帳簿保存法の範囲を広げ、議事録などの会社関係書類、医療情報、建築図書など、保存が義務付けられているすべての文書について、電子データで保存することを認める法律です。
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e-文書法
電子帳簿保存法の範囲を広げ、議事録などの会社関係書類、医療情報、建築図書など、保存が義務付けられているすべての文書について、電子データで保存することを認める法律です。
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電子署名法
正式名称は「電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号)」と言います。一定の要件を満たした電子署名は、署名や押印と同等の法的効力を持つことを定めた法律です。
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進むデジタル化の法整備
不動産に関する契約書類などは、2022年5月までは書面での交付が必要でした。しかし、法改正により現在では電子化が認められています。このように電子化の法整備は着々と進んでおり、今後も対象が増えていくでしょう。
企業は電子化に対応すべく、早めに準備することをおすすめします。書類の電子化をご検討の際は、ぜひ電子データ化センターへご相談ください。
- 法律第百二十六号(平一二・一一・二七)
書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/15020001127126.htm